発熱ペアについて
●発熱ペアとは
ガラス片面または両面を強制的に暖めて、ガラス表面の結露を防止するヒーター入りの複層ガラスです。ガラスにコーティングされた金属膜に電極を付け、抵抗となった金属膜に通電することによって発熱する仕組みとなっています。
●発熱ペア用ガラスの抵抗値
サンワイズ発熱ペア用の発熱ガラス(以下「発熱ガラス」)は、正方形の両辺に電極を作製して抵抗値を計ると、およそ20Ωになります。
縦横比が1:2の場合、40Ωとなります。
縦横比が2:1の場合、10Ωとなります。

横が長くなると抵抗値が大きくなり、縦が長くなると抵抗値が小さくなります。
発熱ガラスは正方形で20Ωですので、W(横)/H(縦)×20[Ω]が任意のサイズの発熱ガラスの抵抗値となります。
これを踏まえてオームの法則で計算すると、電圧値と抵抗値から電流値が、電流値と抵抗値から電圧値が出てきます。

●発熱ペアの電力
発熱ペアは、非通電時に比べて、通電時に5℃程度ガラスの温度が上昇するためには、1uあたり100Wの電力が必要であるという結果が実験より得られています。
500o×500oのガラス@と、1000o×1000oのガラスAの抵抗値は同じ20Ωです。どちらのガラスも100Vの電圧をかけると、電流は5A流れます。そしてどちらも500Wの電力となります。しかし、ガラス@は1uあたり2000Wの電力であるのに対し、ガラスAは1uあたり500Wの電力となり、1uあたり4倍の電力となります。
任意のサイズの発熱ガラスに1u辺り100Wの電力にするには、電圧値を制御します。
ガラス@には25Wの電力が必要となり、23Vの電圧をかけ、電流は1.1Aとなります。
ガラスAには100Wの電力が必要となり、45Vの電圧をかけ、電流は2.2Aとなります。

●ACパワーコントローラー
ガラスサイズに対応した電力にするためには、電圧を制御します。発熱ペアのお見積り書に所定電圧等の情報を記載したり、出荷する発熱ペアガラスに必要な電圧や消費電力を貼付して出荷したりしており、お客様ご自身で所定の電源をご用意いただくことも可能ですが、サンワイズでは、電圧を制御するために、ACパワーコントローラー(以下「ACパワコン」)をオプションで用意しています。ACパワコンは、トランスのように、電磁誘導により、ひとつの電圧を他の電圧に変換してはいません。SSRにより位相制御をして、実効電圧を制御しています。
ACパワコンの電圧は、実効電圧が計測できるテスターを使用すると計測できます。
この実効電圧がトランスを使用する場合の電圧と同じ値になるように設定%が計算されています。

ACパワコンの仕様
電源電圧 |
AC100V(90〜120V)、AC200V(180〜240V) (100V/200v 電圧設定スイッチにて切替え) |
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電源周波数 | 50/60Hz |
負荷電流 | 最大10A(推奨7A以下) |
使用可能消費電力 | 最大500W(発熱複層ガラスの大きさによる) |
設定値(%) | 発熱複層ガラスのW寸法(電極間距離)による |
利用可能コード径 | 0.75mu〜2.5mu、18AWG〜14AWG |
使用周囲温度範囲 | 0〜50℃(直射日光の当たる場所での使用のなきこと) |
使用周囲湿度 | 30〜80%Rh(但し結露なきこと) |
使用雰囲気 | 周囲に腐食性ガスのなきこと |
制御方法 | 位相制御(温調制御はしておりません) |
本体寸法 | 幅:170 × 奥行:124 × 高さ:59 (mm) |
重量 | 1.2kg(電源コード含まず) |
●最適な設定
発熱ガラスの抵抗値が一定なため、ガラスのサイズによって印加する電圧が決まってくる、そのための最適な設定電圧の算出方法をお話ししました。しかし、所定の電気量では結露の発生を抑えられないため、表面温度を上げて結露を防ぎたい場合には、若干であれば所定電圧を上げることは可能です。この場合は注意が必要です。ACパワコンを使用する場合は、社内実験の結果から、標準設定%の1.2倍までであれば出力を上げることは出来ます。これ以上出力を上げてしまいますと、発熱ガラスの表面温度が上がりすぎてしまい、熱割れを起こす可能性があります。たとえば先に挙げた500mm×500mmの発熱ペアに100Vを直接印加してしまった場合や、ACパワコンの設定を100%で通電してしまった場合は、発熱ガラスの表面温度は触れないほどに上昇し、熱割れを起こしてガラスは割れてしまいます。この場合、ガラスの破片が激しく飛び散りますので、ケガなどの恐れがあります。
●ACパワコンへの接続方法
発熱ガラスを複数枚ACパワコンに接続する場合は、同じサイズのガラスを必ず並列で接続します。並列で接続することで、設定%を変更せずに複数を接続することができます。並列に接続した場合、電圧は変わらないためです。
複数のリード線をACパワコンの端子台に接続するのは困難であるため、1本のリード線にまとめてから接続します。複数のリード線を接続する方法として、圧着閉端接続子を使用します。
- CE2
-
リード線を3本接続できます。
2枚のガラス(ヒーター面)を1台のACパワコンに接続する場合に使用 - CE5
-
リード線を4〜5本接続できます。
3枚、4枚のガラス(ヒーター面)を1台のACパワコンに接続する場合に使用
4枚以上のガラス(ヒーター面)を1台のACパワコンに接続する場合は、CE2とCE5を併用します。

規格 | SHVFF |
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径 | 0.75sq |
温度 | 105℃ |
電圧 | 〜300V |
電流 | 〜7A |
リード線が7Aまでしか使用できないため、ACパワコンを使用する場合は、7Aを制限にして接続可能数を決定しています。

